2022/01/16 : 待合の本のご紹介 「こころが晴れるノート うつと不安の認知療法自習帳」
今回は日本の認知行動療法の第一人者である、大野裕先生が執筆された「こころが晴れるノート:うつと不安の認知療法自習帳」をご紹介します。
認知行動療法の自習本で、患者さんが一人で本を読んで進められる構成になっています。130ページとそれほど分厚くないですが、認知行動療法で用いられる技法(活動のセルフモニタリング、認知再構成、問題解決療法、アサーション)を一通り含んでいるだけでなく、睡眠衛生則やリラクゼーションのスキル、こころの病気に薬を使うことについてどう考えたら良いか、周囲の人がうつ状態の人にどう接したらいいかといった情報といったものも含まれていて、うつ病を抱えているときに必要な情報が網羅されています。
また、構成的に素晴らしいと思うところが、通常、心理療法として受ける認知行動療法は、見立てを作ったあと、その見立てに合わせて各技法に取り組むことが多いと思うのですが、この本では技法→見立てと、順番が逆になっています。
過去のブログでも触れているのですが、見立てを作る作業はとても難しいものです。そのためこの本では、まずはいろいろな技法を練習する中で自分自身の困りごとについて全体的に理解し、その後で見立てを作る流れになっているように推測しています。
とても盛り沢山な本なので全てを練習して理解するのはなかなか難しいかもしれませんが、自分の気持ちの問題を言葉にして「見える化」するだけでも役に立つように思います。
りさ杁中こころのクリニック 院長
今井理紗