2021/12/09 ： 待合の本のご紹介 「強迫性障害の治療ガイド」
日本で強迫性障害を専門的に行っている機関の一つが九州大学の精神科です。その九州大学精神科の飯倉 康郎先生が書かれた「強迫性障害の治療ガイド」についてご紹介します。
強迫性障害に対して効果のある、「暴露反応妨害法」という認知行動療法の治療方法に基づいて、患者さん用に書かれている本です。
暴露反応妨害法の流れについて、とてもシンプルに書かれています。ページ数も27ページしかなく、しかも１ページまるまる図だったりするので、内容はとても少ないです。
「暴露反応妨害法の流れ（治療モデル）を理解し、患者さん自身で見立て（フォーミュレーション、作業仮説）を作り、強迫行為をやめることにチャレンジする」それのみを目的に書かれたのだろうなということが伝わってきます。
先日ご紹介した「自分でできる「不眠」克服ワークブック」は不眠症の認知行動療法をベースにしていますが、不眠の要因は多様なので、多様な側面から書かれていました。一方で、「暴露反応妨害法」というのは、どのタイプの強迫性障害の方でも行うことは同じ（強迫行為をやめること）なので、患者さん用にまとめるとこれだけシンプルになるのだろうなと思いました。
日本では「暴露反応妨害法」を専門的に受けられる機関は少ないので、この本はとても貴重だと思います。強迫性障害の患者さんにぜひお勧めしたい一冊です。
りさ杁中こころのクリニック 院長
今井理紗