思春期の不安症
ここでは、当院で対象としている15歳以上(学校でいうと高校生以上)の思春期の不安症についてご説明します。
思春期の不安症と成人期の不安症の違い
思春期の不安症は、成人の不安症と同じように見えて、実際には大きく異なります。
子どもや思春期の患者さんでは、「不安」として言葉で表現されにくく、腹痛や頭痛、朝起きられない、学校に行けない(登校しぶり・不登校)といった形で現れることが少なくありません。そのため、「怠けているのでは」「気持ちの問題では」と誤解されやすい特徴があります。
一方で成人では、不安の内容(人前が怖い、発作が怖いなど)を比較的明確に説明できることが多く、診断や治療方針も立てやすくなります。
また思春期は、家庭で過ごす時間が長く、身近な大人の関わりを受けながら生活している時期です。そのため、不安が強いときには自然と「不安を避ける行動(回避行動)」が続きやすくなる一方で、ご家庭での関わり方を工夫することで、不安への向き合い方を少しずつ身につけていくことも可能です。
思春期の不安症の回復を支える親の関わり
思春期の不安症の治療では、親御さんの関わりが回復を支える大切な力になります。
お子さんが強い不安を感じているとき、そばにいる大人が安心を提供したり、一緒に乗り越えたりできるのは、思春期ならではの特徴です。
成人と違い、ご家庭での関わりそのものが治療の一部として大きな役割を果たします。 不安が強いお子さんに対して、「無理させたくない」という思いから、学校を休ませる、付き添いを続けるといった対応が必要になる場面もあります。これらはその時点では自然で大切な対応です。 一方で、回復を目指す段階では、不安を理解しながらも「少しずつできることを増やしていく関わり」を取り入れていくことが重要になります。こうした関わりによって、お子さん自身が不安を乗り越える力を育てていくことができます。
当院では、思春期の不安症に対して、ご本人への治療に加え、親御さんにも具体的な関わり方(声かけの工夫、不安への寄り添い方、無理のない形でのステップアップの支え方など)をお伝えしています。ご家庭でのサポート力を活かしながら、一緒に回復を目指していきます。
思春期の不安症の治療
精神療法(≒カウンセリング)
思春期の不安症の患者さんにも、認知行動療法が効果があります。ただ、成人期の認知行動療法と大きく違うのは、児童思春期の認知行動療法ではご家族の協力が必要であるということです(成人の認知行動療法は基本的には家族同席面接はありません)。不安症の認知行動療法では、公共交通機関を使う練習など費用を要するものなどもあったりするので、当然のことかもしれません。思春期の認知行動療法の研究はいくつかあるのですが、ご家族と治療者との面談があったり、場合によっては、家族に認知行動療法のコーチ役をしてもらうことを狙ったマニュアルもあります。どの程度ご家族に関わってもらうかは、患者さんごとの発達段階にもよります。
薬物療法
思春期の不安症に対して抗うつ薬を使用するかどうかは、症状の程度や経過を踏まえて慎重に判断します。抗うつ薬は不安症に対して効果が期待できるため、必要に応じて使用を検討します。
また、「安定剤」と呼ばれる薬(ベンゾジアゼピン系薬剤)については、日常的に使用するのではなく、面接試験の当日など特定の場面に限って、期間を限定して使用することがあります。状況に応じて必要性を見極めながら、慎重に取り入れていきます。
当院における思春期の不安症の診療の工夫
家族同席面接と個人面接のバランス
成人期の患者さんの面談は、患者さんご本人とお話しする時間が中心ですが、思春期の患者さんの面談では必ず親御さんとお話しする時間も設けています。患者さんの話を補ってもらったり、症状に対する対応法をお伝えしたりします。ただ、思春期では、親御さんには話しにくい話題もあるものですので、全ての面談で親御さん同席というわけではなく、患者さんとの個人面談の時間も設けています。
認知行動療法的なアプローチの実施
当院では、思春期の不安症に対して、日常の外来の中で無理なく取り組める形で認知行動療法の要素を取り入れています。
初診では、できるだけ時間を確保し、不安の内容や困っている場面を丁寧に整理したうえで、「どのような場面でどの程度の不安が生じるか」を一緒に確認し、不安の階層(不安階層表)を作成していきます。また、その場で実践できる対処法として、呼吸法などもお伝えします。 治療は、こうした整理をもとに、日常生活の中で少しずつ取り組める課題を設定し、無理のないペースで進めていきます。特別なプログラムとして時間を区切って行うというよりも、外来の中で継続的にフォローしながら進めていくスタイルです。
また、実際の生活場面での取り組みを支えるために、ご家族にも現在の目標や取り組み内容を共有し、必要に応じてご協力をお願いすることがあります。 一人で抱え込むのではなく、日常生活の中で少しずつ実践しながら進めていくことを大切にしています。
学校との連携
患者さんやご家族のご希望がある場合には、学校の先生に受診に同席していただき、状況を共有することも可能です。
また、必要に応じて情報共有を行うこともありますが、診療体制の都合上、日常的・継続的なやり取りについては難しい場合があります。
診療時間
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | |
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| 昼診 | ○ | ○ | × | × | ○ | ○ | × |
| 夕診 | ○ | ○ | × | × | ○ | ○ | × |
昼診 10:30-14:00 夕診 15:00-19:00

