名古屋市鶴舞線いりなか駅近くの女性医師(女医)による精神科・心療内科|りさ杁中こころのクリニック

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うつ病

うつ病の要因

うつ病は生涯で15人に1人は体験する、頻度の高い疾患です。一つの原因でなるものではなく、さまざまな要因が重なって生じますが、一番関連が強いのは直近のライフイベントだと言われています。

ライフイベント病気になったり、失業したりといった悪いライフイベントだけではなく、結婚、出産、昇格といった良いライフイベントもうつ病のきっかけになりえます。
では、ライフイベントが何もなければうつ病にならないかというと、社会参加や対人交流が少なすぎる場合もうつ病の要因になりえるため、「これをしなければうつ病にならない」というものはありません。

うつ病の症状

うつ病で生じる症状には下記のものがあります(診断基準に含まれてないものもあります)

気分の問題
ゆううつな気分になることが多いです。人によっては不安やイライラが増えることもあります。

睡眠の問題
不眠が生じる人もいますし、逆に寝過ぎてしまう過眠が生じる人もいます。

痛み
うつ病の方の半数以上には、痛みがあると報告されています

自律神経症状
動悸動悸、呼吸困難感、便秘、多汗など

食欲の問題
食欲がなくなる人もいれば、過食になる人もいます

気力の低下
疲れやすくなります

自責感や後悔
自分を責めたり過去のことを思い出して後悔することを長時間繰り返します

思考力の低下
本を読んだりテレビを観たりするのが難しくなったり、料理や片付け、仕事の段取りなどができなくなります

動きがゆっくりになる、もしくは落ち着かなくなる
話すスピードや動きがゆっくりになったり、そわそわしたりします

死についての考え
死にたくなったり、死について繰り返し考えたりします

うつ病の治療

休養
休養治療はまずは休養が第一です。ここでいう「休養」とは頭や心を休めるという意味で、楽なように、好きなように過ごしてください。
とはいっても、うつ病の患者さんは症状で生じる自責感のために「休んでいてはいけないのではないか」という考えが浮かんできてしまい、なかなか割り切って休むことが難しいものですので、治療の中で相談しながら少しずつ慣れていきます。

薬物療法
中等症以上の方には抗うつ薬が効果的です。不安症に強い薬、痛みに効く薬、睡眠障害に効く薬など、さまざまなタイプのものがあります。

精神療法(≒カウンセリング)
精神療法心理教育といって、うつ病の症状についてよく知り、うまく付き合えるようになることが大切で、通常の外来でよく実施されます。
また、認知行動療法や対人関係療法といった期間限定に集中的に行う精神療法は単独で抗うつ薬と同等の効果があります。

認知行動療法も対人関係療法も、困っている問題の背景を振り返るというところは共通していますが、認知行動療法は考え方や行動を変えていく治療法で、対人関係療法は心理教育に重点をおきつつ、出来事に伴う自分の感情を認識したり肯定できるようになることや、周りの人との繋がりについて詳しく扱っていく治療法です。どちらも毎週、1回あたり30分から60分かけ、期間限定で行うものになります。当院では対人関係療法を実施することができます(保険診療のほか、別途予約料がかかります)。

当院におけるうつ病の診療の工夫

的確な診断をするために
うつ病と間違われがちなのが、双極性障害という疾患です。双極性障害では気分が高い時期がみられるのですが、うつ状態のときにはうつ病と見分けがつきません。ただ、うつ病とは治療法も予後も異なるため、正しく診断することが重要です。

■ 電子カルテを用いた仕組みづくり
当院では、過去に躁状態がみられたことがないかについて初診で聞き忘れることがないように、電子カルテ上で仕組みを作っております。
■ ご家族用の問診票
ご家族が初診に同席された際には、ご家族用の問診票で過去の躁状態の有無についてお尋ねしています。
■ 診断補助ツール
双極性障害の診断がつくか迷う場合に使えるようなBipolarity Indexというスコアリングシステムや、構造化面接法なども実施できます。

患者さんの気持ちに沿って困りごとを整理する
うつ病にかかっているときには「今、どのようなことに困っていて、どうしたら良いか」がわからなくなっていることが多いものです。
■ 対人関係療法の考え方を用いた見立て
当院では、うつ状態の患者さんの困りごとの見立てをする際には、対人関係療法の考え方を用いた見立てを行なっています。対人関係療法では、患者さんの気持ちに沿って、困りごとを整理していきます。時間の制約上、全員の患者さんにフルパッケージの対人関係療法を実施することは難しいのですが、見立てに関しては対人関係療法の考え方を使っています。

セルフヘルプ本の活用
待合スペースには患者さん用のセルフヘルプ本(自分で自分を治すための本)が置いてあるので、興味があるものを自由に手にとって頂くことができます。

治療抵抗性の判断と要因の評価
うつ病の方の多くは薬が効くのですが、一部薬が効きにくい方もいて、(多くの研究では)2種類以上の抗うつ薬が聞かなかった場合には「治療抵抗性うつ病」としています。当院では、治療抵抗性うつ病に関して適切な時期に判断し、それに応じた治療法などを提案します(詳しくは「治療抵抗性うつ病」の項目で説明しています)。

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