思春期の身体表現性障害(身体症状症)
ここでは、当院で対象としている15歳以上(高校生以上)の思春期の身体表現性障害(身体症状症)についてご説明します。
思春期の身体表現性障害とは
思春期では、学校生活・対人関係・進路の悩みなど、心身にかかる負担が大きくなり、ストレスが身体症状として表れやすい時期です。
めまい・吐き気・腹痛・倦怠感・頭痛・動悸などが続き、
検査では大きな異常が見つからない場合でも、「本当に身体がつらい」という状態が続くことがあります。
ここで大切なのは、症状は決して“わざと”でも“気のせい”でもありません ということです。
「都合よく症状を作っているのでは?」と誤解されることもありますが、
症状そのものは無意識に起こり、本人もコントロールできません。
現在の診断基準では、身体的な原因があってもなくてもよく、
症状への不安やとらわれが強くなり、生活に支障が出ているかどうか が診断のポイントです。
ストレスが原因の場合は「適応障害」と判断することもあります
思春期では、身体のつらさが「学校での出来事」「友人関係の悩み」など、はっきりしたストレスと結びついて起こっていることがあります。
また、身体の症状そのものを「深刻な病気ではないか」と強く心配していない場合には、身体症状症ではなく適応障害と診断する場合があります。
その際には、ストレスへの対処や環境面のサポートといった、適応障害に対する治療を行います。
思春期と成人期の身体表現性障害の違い
思春期では、成人とは異なる特徴があります。
- ストレスが身体症状として表れやすい(情緒と身体感覚の結びつきが強い)
- 自分の状態を言葉で表しにくく、身体症状として表現されやすい
- 学校・友人関係・進路など、ストレス源が多い
- 症状への不安が高まりやすく、悪循環に入りやすい
- 家庭のサポートが治療にとても重要
思春期の身体表現性障害の治療
まず、症状を「軽視しない」ことが大切です。
症状に合った対症療法を行いながら、必要に応じてうつ病や不安症の評価も行います。
精神療法(≒カウンセリング)では、海外の身体症状症に対する認知行動療法(CBT)の知見を参考にしながら、
その方の年齢・状況・症状の出方に応じて、柔軟にアプローチを決めていきます。
- 身体の緊張を和らげる呼吸法・リラクゼーション
- 活動のペースを整えるペーシング
- 症状と関連する感情を整理し、言語化しやすくする練習
- 身体感覚への「とらわれ」が強い場合にはマインドフルネスを用いる
これらは“決まったプログラム”ではなく、
行動分析の結果、「今その方に必要なこと」を選び取りながら進めていきます。
当院における思春期の身体表現性障害への診療の工夫
家族同席面接と個人面接のバランス
思春期の患者さんでは、症状の変化や生活状況を親御さんから補足していただく必要があります。
一方で、親御さんの前では話しにくい内容もあるため、
親御さん同席の面談と、患者さんだけの個人面談の時間を両方設けています。
行動分析によるアプローチの併用
行動分析の結果をもとに、柔軟にアプローチを決めていきます。
ご家族にも「何をしているのか」を理解してもらいながら進めていきます。
学校との連携
希望がある場合のみ、学校と連携し、出席の調整や対応方法について情報共有することも可能です。
症状に合わせた対症療法
思春期の身体症状症では、吐き気・腹痛・胃部不快感などの消化器症状が目立つことがあります。
当院では、必要に応じて吐き気止めや胃痛に対する薬、漢方薬などの対症療法を行うことも可能です。
診療時間
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 昼診 | ○ | ○ | × | × | ○ | ○ | × |
| 夕診 | ○ | ○ | × | × | ○ | ○ | × |
昼診 10:30-14:00 夕診 15:00-19:00

