2021/12/12 : 待合の本のご紹介 「ACTをはじめる」
「ACT」という、うつ病や疼痛に対して効果のある精神療法があります。今回はその「ACT」のセルフヘルプ本である「ACTをはじめる」をご紹介します。
あるACTのワークショップを受ける際、事前準備としてこの「ACTをはじめる」を読んでくることが必須だったので、私はその際に1冊まるごと読んで実践したことがあります。
この本の使い方で強調したいのは、「エクササイズ」に実際に取り組むこと、それだけです。エクササイズは一見子どもの遊びのようで、試してみる前には「なんの意味があるの?」と思うかもしれませんが、実際に体感してみるということが大切です。
かなり分量のある本なので、途中の説明などは飛ばしても良いと思いますが、エクササイズだけは飛ばさずに、(真剣に、楽しく)取り組んで体験してみてください。
というのは、ACTは「頭で理解する」のではなく「体験型」の治療だからです。読んでみるだけでは体験できない世界だと思います。
少し長い文章などもあるので、うつ病などによって集中力の低下が強い方には読みにくいかもしれません。特に、マインドフルネスのところは、実際のセッションであれば声の教示で行うところを、セルフヘルプ本では教示を読んで覚えて実践しなければならず、これはなかなか大変でした。
どこか一部分だけ切り取って実践するとしたら(本当はそのような使い方はよくないのかもしれませんが・・・)、「価値」のエクササイズがお勧めです。
精神的な疾患でお困りの方だけではなく、単に「自分の人生をよりよく生きたいな」「自分は何がしたいんだろう」と思っている方、頭でっかちになってしまったり、「こうあるべき」が強すぎて前に進めないと悩んでいる方などにもお勧めできる本です。
りさ杁中こころのクリニック 院長
今井理紗